本革の特性と愛すべき短所
こんにちは。studio FAVORIのゆうです。
今回はあまり知られていない本革という素材の製造過程と天然素材ならではの特性について、まとめてみました。
多くの革職人が発信してきた内容だとは思いますが、本革(リアルレザー)のことをあまり知らない人のために、伝えていかなければいけないことだと思っています。
本革とサステナブルの深い関係
本革という素材について、正しく知っている人はどれだけいるでしょうか?
本革がどのように作られているのか、その存在意義をどこかで勘違いしてしまっている人は、案外多いことをつい最近実感しました。
“革”を作るには、動物の“皮”が必要であることには、以前のブログでも少し触れています。↓
https://studiofavori.jp/blog/20210601164745-826/
生きていた動物の皮を加工して革という素材が作られる、ということを理解している人は比較的多いかと思います。
しかし、この動物の“皮”は食肉の副産物であるということを知っていたでしょうか?
これは実際勘違いしている人も少なくない事実です。
中には素材を得ることだけを目的として、動物の命を戴いていると思っている人もいるようです。
実はそうではなく、私たちが食材として頂いている食肉を得たあとで残る皮を、制作物の素材として使えるように加工しているのです。
つまり本革を製造することは、戴いた命を最後まで使いきることに繋がっているということ。
もしこの残皮を利用せずに廃棄すると処理するためのコストがかかり、それに伴って食肉の価格が高騰します。
さらには焼却処理をすることで温室効果ガスが発生し、地球環境にまで影響を与えることになるのです。
つまり本革はとってもサステナブルな素材ということになります。
サステナブル(Sustainable)は、sustain(持続する)とable(〜できる)からなる言葉。「持続可能な」「ずっと続けていける」という意味があります。
本革という天然素材だからこその愛着
本革がもともと命あるものの一部であったこと、それぞれが個体として生きていたことは、それ自身が表情で語っています。
牛さんも豚さんも、あらゆる動物は生きていれば人間と同じように、皮膚にキズやシミができて跡になって残ることが当然あります。
もちろん関節近くにはシワなんかもできたりします。
また皮膚のすぐ下の血管の痕が浮き上がって、模様のように見える(血筋と言います)ことも珍しくありません。
そういった「生きた痕跡」が、加工されて素材としてのレザーとなったあとにもそのまま残ることがあります。
画像はほんの一例で、革一枚一枚や部位ごとに実に様々な痕跡があります。
職人さんによってはこれをリアルレザーの短所と捉えて廃棄してしまうこともありますが、私はすべてそれぞれの革の個性だと思っています。
かつてはそれぞれが生きていて、各々の一生があったということ。
その事実がこうしてキズやシワに現れているのです。
時々お客さまから不良品じゃないですか?と聞かれることがありますが、studio FAVORIのそういう考えに共感し、ご理解いただければ幸いです○
あまり考えたことのなかった方も、革となる前のそれが私たちと同じように生きていたんだな、仲間と喧嘩してケガしちゃったのかな、と想像してみるとなんだか愛おしく思えてきますよ。
職人が一点一点手作りしている綺麗な国産の革製品は、探せばいくらでも存在します。価値観が違うなーと感じる方は、ぜひそちらで探してみてくださいね。
結び
本革は、織られた生地のように均一で綺麗な素材ではありません。
でも実はとてもサステナブルで、意外にも製造すること自体が地球環境に貢献している素材であるということ。
そしてその不完全さこそが、本革の本当の愛すべき点であるということ。
より多くの人にこの真実を知ってもらえたら、そして記事を読む前より少しだけ本革を身近に感じてもらえたらいいなと思います。
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